中毒性のあるゲームをAIで分析して検証ゲームを作った|魔王領運営ゲーム制作記その14

中毒性のあるゲームをAIで分析して検証ゲームを作った|魔王領運営ゲーム制作記その14

魔王領運営ゲームの制作を進めている。

ここまでは、世界観、キャラクター、初期遠征、白冠教会、捕虜や保護対象、周回要素、導入シーンなどを整理してきた。

ただ、設定を作っているだけではゲームにはならない。
どれだけ世界観が面白くても、実際に遊んだ時に「もう1回」と思えなければゲームとしては弱い。

そこで今回は、少し制作の方向を変えて、中毒性のあるゲームは何が強いのかをAIに分析させてみた。

使ったのは、Claude Fable5とChatGPT。

それぞれに、好きなゲームや中毒性のあるゲームの構造を分析してもらい、その結果をもとに、実際に小さなゲームも作って検証してみた。

今回は、その制作記録。

細かい理論やスコアの話を全部出すと重くなるので、この記事では、何を試して、何に気づいて、それを魔王領ゲームへどう戻すかを中心に書いていく。

なぜ先に小さな検証ゲームを作ったのか

魔王領運営ゲームは、かなり大きい企画になってきている。

領地運営。
遠征。
防衛。
捕虜や保護対象。
白冠教会。
キャラクターごとの人生線。
周回やルート分岐。

というように、要素が多い。
だからこそ、いきなり本体に全部入れて試すのは危ない。

もし「もう1回遊びたくなる核」が弱いまま、キャラや設定やUIだけを積んでしまうと、後で直すのがかなり大変になる。

そこで、まずは魔王領ゲーム本体ではなく、もっと小さなゲームで試すことにした。

中毒性のあるゲームに共通する要素を抜き出し、それをシンプルな形で実装する。
それで本当に「もう1回」が出るのかを見る。

つまり、魔王領ゲームのための実験台として、小さなゲームを作った。

分析したゲームたち

今回の分析では、自分が好きなゲームや、分かりやすく中毒性があるゲームを材料にした。

たとえば、巣作りドラゴン。
ウィザーズクライマー。
Slay the Spire。
Vampire Survivors。
slither.io。
Among Us。
ソシャゲのガチャ。
最近話題になっていた、めっちゃカメレオン。

ジャンルはかなりバラバラ。

でも、AIに分析させていくと、共通している部分が見えてきた。

単に報酬があるから続けるのではない。
単にランダムだから面白いのでもない。

大事なのは、毎回少し違う状況が起きて、自分の判断で結果が変わり、その結果を誰かに話せること

乱数だけならガチャになる。
でも、そこに自分の工夫が入るとゲームになる。

さらに、そのプレイ結果が「今回はこうなった」と語れる形になると、遊んだ記憶が残りやすい。

このあたりが、重要だと思っている。

検証用に作ったゲーム「あと1階」

その分析をもとに、検証用として作ったのが「あと1階」というゲーム。

あと1階 潜るか、帰るか。

内容はかなりシンプル。

ダンジョンを潜る。
深く潜るほど宝は増える。

でも、死の気配も上がる。

帰れば持ち金は確定。
死ねば持ち金は全部失う。

ただし、魂のような一部の資産は残る。

タイトル通り、毎回「あと1階だけ潜るか」「ここで帰るか」を選ぶゲーム。

一見すると、かなり単純。
でも、この単純な構造の中に、今回試したかった要素を詰め込んだ。

潜るか帰るか。
死の気配をどこまで許容するか。
宝を捨ててでも生き残るか。
次の階の気配を読むか。
レリックをどう選ぶか。
死んでも残る成長をどう扱うか。

このあたりを小さく実装して、実際に遊びながら直していった。

最初は「選択肢があるだけ」だった

最初に作った版は、ルール自体は分かりやすかった。

「もう1回」も押したくなる。

でも、しばらく遊ぶと問題が見えてきた。
次はこうしよう、という仮説があまり残らない。

つまり、ただクリックしている感じになってしまった。

ここで気づいたのは、選択肢は、数があるだけでは意味がないということ。
ボタンが2つあっても、どちらを選んでもあまり変わらないなら、それは実質的な選択ではない。

プレイヤーが迷い、考え、次は違う選び方をしようと思える必要がある。

魔王領ゲームでも同じ。
捕虜をどう扱うか。
保護対象を受け入れるか。
財宝を守るか。
遠征先をどこにするか。

これらも、選択肢として置くだけでは弱い。
選んだ結果、次の状況がちゃんと変わる必要がある。

死ななくなると、ゲームは急に弱くなる

次に出た問題は、救済手段が強すぎることだった。

危機になっても、宝を捨てれば生き残れる。
それ自体は悪くない。

でも、何度も同じ方法で逃げられると、死の緊張が消えてしまう。
死なないなら、深く潜り続ければいい。

そうなると、帰る理由がなくなる。
帰る理由がなくなると、「あと1階」のタイトル自体が弱くなる。

そこで、死神が同じ手を覚えるようにした。
最初は宝を少し捨てれば逃げられる。

でも次はもっと要求される。
さらに次は、もう通用しにくくなる。

これで、救済はあるけれど無限ではない、という形になった。

これは魔王領ゲームでも重要になる。
罠、療養、撤退、交渉、捕虜交換、保護施設。

こういう救済手段は入れたい。
でも、救済が強すぎると緊張が死ぬ。

だから、救済にはコストや回数制限、あるいは次への影響が必要になる。

目的には名前が必要だった

もうひとつ大きかったのは、目的の問題。
最初は「行けるところまで行く」だけでも成立すると思っていた。

でも実際には、それだけだと弱い。
どこまで行けば一区切りなのかが分からない。

そこで、深淵の碑や、依頼や、称号のようなものを入れた。

B10を目指す。
B20を目指す。
特定の依頼を達成する。
特定の称号を取る。

こうなると、同じ「潜る」でも目的が変わる。
単に深く潜るのではなく、「今回はこの目標を取りたい」と思える。

魔王領ゲームでも、これはそのまま使えそう。

ただ内政する。
ただ遠征する。
ただ防衛する。
それだけでは弱い。

30日後分岐。
初回襲撃。
ミアハ療養。
白冠教会の痕跡調査。
旧鉱山の防衛素材。

こういうものに名前がつくことで、プレイヤーは「次はこれをやる」と考えやすくなる。

壊しにいくテストが必要だった

今回かなり大きな気づきだったのが、普通に遊ぶだけではゲームの穴が見つからないこと。

作った側も、評価する側も、最初は普通に遊ぶ。
でも実際のプレイヤーの中には、最適解を探す人がいる。
ゲームを壊しに行くような遊び方をする人もいる。

その視点で遊ぶと、急に見えてくる穴がある。

「この選択だけしていれば勝てる」
「この救済を使い続ければ死なない」
「この方法なら緊張が消える」

こういう支配戦略が見つかると、ゲームの寿命が一気に縮む。
だから、今後ゲームを作る時は、普通に遊ぶテストだけではなく、壊しにいくプレイを必ず入れた方がいいと思った。

これは魔王領ゲームでも重要な点。

罠だけ置けば勝てる。
捕虜を増やすだけが最適。
黒霧の森だけ周回すればいい。
特定施設だけが強すぎる。

こういう状態にならないように、早い段階から壊しに行く必要がある。

覚えたら終わる挑戦は、長く続かない

戦闘要素でも問題が出た。

敵の構えを見て、正しい対応を選ぶ。
最初は読み合いになると思っていた。

でも、覚えてしまうとただの知識テストになる。

正解を覚えたら、もう迷わない。
迷わないなら、賭けにならない。

そこで、不完全情報を入れた。

全部は見えない。
見極めたいなら、死の気配を少し上げて情報を買う。

これで、ただの暗記ではなく、リスクを払って確定情報を取りに行くかどうかの判断になった。

この気づきも魔王領ゲームに使える。
たとえば、敵の襲撃情報を全部見せるのではなく、オシーンやクロイルの信頼段階で見える情報が増える。

偵察するならコストがかかる。
でも偵察しないと、不確実なまま防衛することになる。

こうすると、覚えれば終わりではなく、毎回の状況判断になる。

正直な設計は強い

今回の検証では、確率やリスクをできるだけ正直に見せる方向にした。

死の気配は数字で見せる。
危険な時は危険だと見せる。
帰った時には、次に潜っていたらどうなっていたかも見せる。

これは、プレイヤーを騙さないためでもある。
でも、それだけではなく、ゲームとしても面白くなる。

死んだ時に納得しやすい。
帰った時にも、英断だったのか、惜しかったのかが分かる。
失敗しても、理不尽ではなく次の判断材料になる。

魔王領ゲームでも、これは大事にしていきたい。

ランダム要素や分岐は入れる。
でも、見えないところで不公平に操作しているように感じさせない。

プレイヤーが失敗した時に、「次はこうしよう」と思えるようにする。

物語は後から足すだけでは弱い

もうひとつ、物語についても気づきがあった。
最初は、ゲームの仕組みと物語を別々に考えていた。

でも、遊んでいくと、テーマと仕組みが合っている時の方がのめりこめる。

「あと1階」は、欲を出してもう1階潜るゲーム。
だから、物語も「あと1階」と言い続けた人間の話にすると噛み合う。

ゲームが毎回教えていることと、物語のテーマが同じになる。
そうすると、少ない文章でも効きやすい。

これは魔王領ゲームでも大事になる。
魔王領ゲームのテーマは、単に強くなることではない。

奪われない場所を作ること。
逃げてもいい場所を作ること。
保護するなら、外に寝かせないこと。
支配ではなく、どう受け入れるかを選ぶこと。

このテーマが、施設や遠征や防衛の仕組みと噛み合っていないといけない。
後からイベントだけで泣かせようとしても感情移入しにくい。

ゲームの判断そのものが、物語のテーマと同じ方向を向いている必要がある。

魔王領ゲームへ戻すなら

今回の検証から、魔王領ゲームへ還元できそうなことはかなりある。

まず、遠征では「どこへ行くか」に、実質的な意味を持たせる。

黒霧の森へ行けば魔物や薬草。
灰鉱村跡へ行けば保護対象や白冠の違和感。
旧鉱山へ行けば罠素材や防衛強化。

この差が、次の防衛や施設にちゃんと反映される必要がある。

次に、防衛では失敗理由を見えるようにする。

入口が弱かった。
宝物庫までが近すぎた。
保護対象の部屋が危険だった。
罠は強いが通路が短かった。

こういう形で、負けても次の仮説が残るようにしたい。

また、保護や捕虜の扱いも、単なる善悪ではなく実質的な選択にする。

外に寝かせないためには施設が必要。
薬草や灯や水が必要。
守る対象が増えれば、防衛の負担も増える。

そういうコストがあるから、選択に重みが出る。


最後に、周回要素。

1周目で全部を説明しない。
2周目以降に、前の知識を使って早く動ける。

ただし、クロイルは未観測情報を急に教えない。

これも今回の「プレイヤーが考える余地」を残す設計とつながっている。

今回やってよかったこと

今回、小さな検証ゲームを作ってよかったと思う。

理由は、考えているだけでは分からないことが多かったから。

AIに分析させるだけなら、それっぽい答えは出る。
でも、実際に作って遊ぶと、すぐに穴が見つかる。

選択肢があるのに選んでいる感じがしない。
救済が強すぎて死なない。
目的が弱い。
支配戦略がある。
覚えたら終わる。

こういう問題は、文章で見ているだけでは見落としやすい。
逆に、遊んで違和感が出たものは、かなり信頼できる。

「なんか飽きた」
「ここで手が止まらない」
「この選択しかない」
「これはもう死なない」

こういう体感は、設計のどこが弱いかをかなり正確に教えてくれる。

今後の制作で使う方針

今後、魔王領ゲームや、サイト、診断、ツールを作る時にも、今回の方法は使えそう。

いきなり完成形を作らない。
まず小さく核だけ作る。

それを実際に触る。
普通に遊ぶ。
次に、壊しに行く。

そこで出た違和感を、設計に戻す。

この流れが大事になる。

AIに作らせる時も、最初から「いい感じに作って」ではなく、何を検証したいのかを決めておいた方がいい。
今回なら、「もう1回したくなるか」「帰るか潜るかで迷うか」「死んでも次につながるか」「支配戦略がないか」あたり。

目的があると、AIの出力も評価しやすい。
ただ作るだけではなく、何がネックとなっているかを見つけるために作る。

これは今後作成していくにあたって役立っていくと思う。

まとめ

今回は、魔王領運営ゲームをブラッシュアップするために、中毒性のあるゲームの構造をAIに分析させ、その要素を小さな検証ゲーム「あと1階」に落とし込んでみた。

そこで分かったのは、ゲームの中毒性は、単なるランダム報酬や強い刺激だけでは作れないということ。

毎回少し違う状況があり、自分の判断が効き、失敗しても次の仮説が残り、結果を語れる形になっていること。
そのあたりが重要となった。

特に大きかった気づきは、選択肢は形式ではなく実質で見ること。
死ななくなると緊張も達成感も消えること。
目的には名前が必要なこと。
壊しにいくテストをしないと支配戦略は見つからないこと。
覚えたら終わる挑戦は長く続かないこと。
物語のテーマは、ゲームの判断と一致している方が強いこと。

これらは、そのまま魔王領ゲームにもフィードバックできる。

魔王領ゲームでは、遠征、施設、防衛、捕虜、保護、周回、ルート分岐のすべてに、今回の検証結果を少しずつ反映していきたい。

設定を作るだけではなく、実際に遊んだ時に「もう1回」と思える構造を先に作る。

ここが、今後の制作で重要になっていきそう。

次回は、今回の気づきを魔王領ゲーム本体の遠征や防衛にどう戻すか、もう少し具体的に整理していきたい。

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