魔王領運営ゲームの妖精と古い神格を考える|地下拠点から不思議な居場所へ 制作記その10

魔王領運営ゲームの妖精と古い神格を考える|地下拠点から不思議な居場所へ 制作記その10

前回は、魔王領運営ゲームの住人と職能キャラについて整理した。

施設だけを増やしても、魔王領はまだ箱のまま。
そこに誰がいて、何をしていて、どんな会話が起きるのか。

それが見えてくることで、魔王領が生活のある場所になっていく。

今回はその続きとして、妖精や古い神格について考えていく。

ここは、後半に効いてくる要素。

ただし、いきなり神話や真相を全部出すのではなく、序盤から少しずつ「この世界には人間と魔物だけではない何かがいる」と感じられるようにしたい。

魔王領は、最初は小さな洞穴から始まる。
そこに宝物庫や罠や保護小屋が増えていく。

捕虜や保護対象が来る。
職能キャラが増える。

そして、さらに進むと、妖精や古い神格の気配が混ざってくる。
そうなると、魔王領はただの防衛拠点ではなくなる。

逃げ場であり、療養地であり、取引場であり、少し不思議な居場所になっていく。

妖精は、世界を少し斜めから見る存在

妖精を入れる理由は、単にファンタジー感を出したいからじゃあない。

妖精がいることで、魔王領の見え方が変わる。

人間は、人間の制度で世界を見る。
教会は、教義や台帳や聖印で世界を見る。
魔王は、魔王核や領地や財宝で世界を見る。

でも妖精は、そこから少しずれている。

契約や所有より、名前や気配を重く見る。
地図より、道の外れ方を覚えている。
法律より、約束や借りを覚えている。

台帳から名前が消えても、直接会って名をもらった相手のことは忘れにくい。

こういう存在にしたい。

このルールがあると、白冠教会や名前喪失まわりともつながる。

教会の記録から消えている。
石碑が削られている。

でも妖精だけは、誰かの名前や違和感を少し覚えている。

そういう形にできると、妖精は単なるかわいい脇役ではなく、世界の欠けを拾う存在になる。

妖精は便利な説明役にはしない

ただし、妖精を便利な説明役にはしない。

妖精が全部知っていて、真相をそのまま教えてくれると、物語としてつまらない。

妖精は何かを覚えている。
でも、言葉にするのが下手だったり、興味の持ち方が人間と違ったりする。

大事なことを知っているようで、本人にとってはどうでもいいことだったりする。
逆に、人間が気にしないような細部を妙に覚えていたりする。

このくらいの距離感がよさそう。

たとえば、妖精が「その名前、風に乗らないね」と言う。
プレイヤーから見ると意味が分からない。

でも後になって、名前や台帳、消された記録に関わる違和感だったと分かる。

こういう出し方ができると、妖精らしい。
説明ではなく、違和感を置く役。

この方が妖精の使い方として合っている。

レプラコーンは財宝と取引につながる

妖精の中でまず分かりやすいのは、レプラコーン系のキャラ。
今回の設定では、財宝、取引、金、交換に関わる存在として考えている。

魔王領ゲームでは、財宝は重要となってくる。

財宝は成長資源であり、防衛対象であり、襲撃を呼ぶ誘因でもある。
そこに、財宝を見る目が人間とも魔王とも違う妖精が関わると面白い。

人間は財宝を価値として見る。
盗賊は奪うものとして見る。
魔王領は守るべき資源として見る。

でもレプラコーン系の妖精は、交換や約束の痕跡として見る。

この金貨は誰の手を渡ってきたのか。
この宝石は、誰との約束で動いたのか。
この財宝は、ただの物なのか、それとも何かの借りなのか。

そういう方向にできる。

ゲーム的には、取引、隠し商人、財宝の鑑定、交換イベントなどに使えそう。

バンシーは死と別れを扱う

バンシー系の妖精は、死や別れに関わる存在として使いたい。

ただし、怖いだけの存在にはしない。

死を告げる。
別れを見届ける。
祝福とも呪いともつかない言葉を残す。

こういう役割が合いそう。

魔王領には、捕虜も来る。
保護対象も来る。
襲撃で死者が出ることもある。
廃村や教会の事件もある。

そうなると、死者や別れをどう扱うかが重要になる。
ここでバンシー系の妖精がいると、魔王領がただ戦って勝つ場所ではなく、失ったものを見送る場所にもなる。

たとえば、死者の名前が正しく呼ばれない。
手向けの順番がおかしい。
台帳の記録が欠けている。

そういう違和感を、バンシーが拾う。

これは白冠教会や名前の設定とも相性がいい。

リャナンシーは創作と魅力につながる

リャナンシー系の妖精は、芸術、恋、創作、魅力に関わる存在として考えている。

このゲームは魔王領運営なので、戦闘や防衛だけでなく、文化や娯楽も少しずつ入れたい。

共同食堂ができる。
住人が増える。
保護対象が落ち着く。
余裕が出てくると、歌や絵や噂話や舞台のようなものも出てくる。

そこにリャナンシー系の妖精が関わる。

ただし、これも単なる芸術担当にはしない。

魅力には危うさがある。
創作には、誰かを惹きつける力がある。
恋や憧れは、人を動かす。

だから、リャナンシー系の妖精は、魔王領に文化を生む一方で、感情の揺れや依存の火種にもなりうる。

ここは後々、恋愛やハーレム要素、聖魔アイドルのようなギャグ寄りルートにもつなげられそう。

プーカは迷い道と予定外を作る

プーカ系の妖精は、悪戯、迷い道、変身、予定外に関わる存在。

これはゲーム的にも使いやすい。

遠征中に道が変わる。
見えていた目的地に着かない。
逆に、行くつもりのなかった場所に出る。
誰かが別の姿で現れる。
選択肢が少し変な方向へずれる。

こういうイベントを出せる。

ただし、ただのランダム妨害にするとストレスになる。
プーカの悪戯は、損だけではなく、思わぬ発見にもつながるようにしたい。

迷った結果、隠し素材を見つける。
予定外の出会いが起きる。
本来なら通れない場所に入る。

こういう形なら、プーカは「邪魔だけど面白い」存在になる。

メロウは水と療養につながる

メロウ系の妖精は、水、湯、海、療養に関わる存在として考えている。

魔王領では、清潔な水や井戸、療養室、温泉のような要素が重要になってくる。

保護対象を受け入れる。
負傷者を治す。
衰弱した人物を療養させる。

こういう流れでは、水場の意味が大きい。
そこにメロウ系の妖精が関わると、ただの回復施設ではなくなる。

水があるから身体が回復する。
湯があるから人が安心する。
水場に妖精がいるから、そこが少し神聖な場所になる。

この方向は、後で温泉や療養地の話ともつながりやすい。

ブラウニーは家の中の小さな助け

ブラウニー系の妖精は、家の助言者や家事妖精として使えそう。

魔王領が大きくなると、派手な施設だけではなく、小さな生活の手助けが必要になる。

食堂の片付け。
保護小屋の掃除。
療養室の水汲み。
倉庫の整理。
迷子になった小型魔物の回収。

こういう地味な部分を支える妖精。

ゲーム的には、生活施設の効率上昇や、小さなイベントの発生役にできる。

ただし、ブラウニーも完全な便利キャラではない。
礼を欠くと拗ねる。
家のルールにうるさい。
勝手に片付けて、逆に重要なものを別の場所へ移す。

こういう少し面倒なところがあると、妖精らしくなる。

古い神格は、世界の奥にいる存在

妖精よりさらに奥にいる存在として、古い神格も考えている。

ただし、神格を序盤から前面に出しすぎると話が大きくなりすぎる。
最初は、小洞穴、遠征、廃村、初回襲撃、捕虜や保護対象の話で十分。

神格は、その奥にある大きな層として置いておきたい。

たとえば、旧鉱山を深く掘っていくと、古い鍛冶場の気配が見えてくる。
水場や療養が進むと、温泉や癒やしの場所が見えてくる。
宴や回復、食卓の話が進むと、何か古い存在の気配が出てくる。

このくらいの出し方がいい。

神格は、いきなり会って説明してくれる存在ではなく、施設や遠征や日常の奥から少しずつ滲んでくる存在にしたい。

知っているが、言わない存在

古い神格の中には、かなり多くを知っていそうな存在もいる。

でも、全部を説明してくれる存在にはしない。

知っているが、言わない。
あるいは、食わせる。
笑わせる。
宴に呼ぶ。

直接答えを渡すのではなく、生きて動ける状態に戻す。

そういう役割が合うと思った。

真相を説明するキャラではなく、真相に耐えられる状態へ戻すキャラ。

食卓という要素は、後半で効いてきそう。

旧鉱山と古い鍛冶場

旧鉱山は、古い鍛冶や金属、神話的な工房の気配とつながりやすい。
その3で整理した旧鉱山は、鉱石や魔石、罠素材、防衛設備につながる遠征先。

そこを深く進めていくと、ただの鉱山ではないことが分かってくる。

古い加工跡。
人間のものではない工具。
妙に壊れない金属。
魔力炉の痕跡。

そういうものから、古い鍛冶場の伏線に触れられそう。

ゲーム的には、隠し鍛冶、特殊素材、強い防衛施設、神話級の装備や罠につながる。

ただし、これも序盤から出しすぎない。
最初は「旧鉱山に変なものがある」くらいでいい。

療養と温泉につながる場所

温泉、癒し、水場、療養に関わる場所も考えている。

魔王領ゲームなのに温泉というのは、少し変な感じもするかもしれない。

このゲームでは、逃げてきた人、傷ついた人、衰弱した人、捕虜から再契約した人、魔物、妖精など、いろいろな存在が魔王領に集まる。

そうなると、単に戦える場所だけでは足りない。

休める場所が必要になる。
身体を洗える場所。
熱を下げる場所。
傷を癒やす場所。
話さなくても同じ湯に入れる場所。

こういう施設があると、魔王領の意味が変わってくる。

温泉や療養泉は、ギャグにもできるし、かなりシリアスにもできる。
この要素は、その両方をつなぐ存在になりそう。

不思議な居場所は、支配地ではない

後半に向けて、魔王領は単なる支配地ではなく、いろいろな存在が流れ着く居場所にもなっていく。

逃げてきた者
残った者
戻ってきた者
再契約した者

魔物
人間
妖精

教会側から外れた者
療養者
保護対象
来訪者

こういう存在が、少しずつ魔王領に混ざっていく。
だから、後半の魔王領は、ただの最強拠点ではない。

人口が増える。
施設が増える。
防衛が強くなる。

それだけではなく、「ここにいてもいい」と思える場所になっていく。

主人公の魔王領は、征服のための場所というより、奪われない場所、逃げてもいい場所を目指している。

その思想が、終盤に向けて意味を持ってくれたらいい。

理想郷を最初から作るわけではない

ただし、そういう居場所は序盤から狙えるものにはしない方がいいと思っている。

最初から「理想郷を作ろう」と言われても、まだ重すぎる。

序盤の主人公に必要なのは、まず生き残ること。

入口を守ること。
財宝を隠すこと。
保護対象を外に寝かせないこと。
捕虜と保護対象を同じ扱いにしないこと。

そういう小さな判断の積み重ねが先にある。

その結果として、魔王領が少しずつ変わっていく。

療養室ができる。
水場が整う。
食堂ができる。
住居区が増える。
妖精が来る。
温泉や古い神格の気配が出てくる。

そうやって積み上がった先に、不思議な居場所としての魔王領が見えてくる。

この順番が大事。
いきなり理想郷を作るのではなく、必要に迫られて作った場所が、結果的に誰かの居場所になっていく。

妖精と古い神格は、魔王領の見え方を変える

妖精と古い神格を入れることで、魔王領の見え方が変わる。

最初は、洞穴と財宝と罠。

次に、捕虜や保護対象。

それから、住人や職能キャラ。

さらに、妖精や古い神格。

こういう順番で広がると、魔王領がだんだん異質になっていく。

でも、それは急に世界観が飛ぶということではない。

生活の延長に妖精がいる。
療養の延長に温泉がある。
鍛冶の延長に古い工房がある。
食卓の延長に古い神格の気配がある。

このようにつなげると、神話要素が浮かない。

巨大な設定を上から乗せるのではなく、日常の奥から見えてくるようにしたい。

ここまでで見えてきたこと

妖精、古い神格、不思議な居場所としての魔王領を整理したことで、最終的な広がりが少し見えてきた。

このゲームは、ただ拠点を強くするだけのゲームではない。

もちろん、罠や防衛や財宝も大事。
でも、それだけではなく、誰がそこに来るのか、誰がそこに残るのか、誰がそこで回復するのかが大事になる。

妖精は、世界の欠けや違和感を拾う。
古い神格は、施設や日常の奥から滲んでくる。

後半の魔王領は、支配地ではなく、居場所としても立ち上がる。
この形にできれば、魔王領は単なるダンジョンではなくなる。

プレイヤーが育てた結果として、少し不思議で、少し危うくて、それでも誰かが戻ってくる場所になる。

次にやること

次は、ルート分岐や周回要素について整理してもいいかもしれない。

これまで、導入、初期遠征、初回襲撃、30日後分岐、白冠教会、捕虜と保護、住人、妖精と古い神格まで見てきた。

そろそろ、これらが周回ごとにどう変わるのかを考えたい。

1周目では分からなかった違和感。

2周目以降に見える選択肢。

既視感表示。

用語辞典。

ルート名を直接出さない分岐。

こういう要素を整理すると、ローグライト構造とストーリー分岐がつながってきそう。

まとめ

今回は、AIと一緒に企画している魔王領運営ゲームの制作記録その10として、妖精と古い神格について整理した。

妖精は、世界を少し斜めから見る存在。
教会の台帳や人間の制度では拾えない違和感を拾う。

古い神格は、いきなり前面に出るのではなく、施設や日常の奥から少しずつ滲んでくる存在。

食卓。
鍛冶。
療養と温泉。

それぞれが、魔王領の機能と自然につながる。

そして後半の魔王領は、魔王が支配する最強拠点ではなく、逃げてきた者、残った者、再契約した者、妖精、魔物、人間が混ざる居場所として育っていく。

小洞穴から始まった魔王領が、少しずつ誰かの居場所になっていく。

この方向が、このゲームの核に近い気がしている。

次回は、周回要素やルート分岐について整理していく予定。

AIと魔王領運営ゲームの企画を作り始めた|巣作り×ローグライト制作記その1
魔王領運営ゲームの導入を考える|小洞穴から始まる巣作りゲーム制作記その2
魔王領運営ゲームの初期遠征先を考える|黒霧の森・廃村・旧鉱山 制作記その3
魔王領運営ゲームの初回襲撃を考える|遠征と防衛がつながる制作記その4
魔王領運営ゲームの30日後分岐を考える|クロイルの方針提示 制作記その5
魔王領運営ゲームの白冠教会と偽聖印を考える|信仰と違和感の制作記その6
魔王領運営ゲームのUIを作り始めた|画面設計と初期プロトタイプ制作記その7
魔王領運営ゲームの捕虜・保護対象・再契約を考える|魔王領の内側を作る制作記その8
魔王領運営ゲームの住人と職能キャラを考える|施設に人がいる制作記その9