魔王領運営ゲームの導入を考える|小洞穴から始まる巣作りゲーム制作記その2

前回は、AIと一緒に企画している魔王領運営ゲームについて、まずは全体の方向性を整理していった。

遠征は毎回セッション制で初期化されるけれど、魔王領そのものは永続して育っていく仕様。

そんなローグライト寄りの領地発展ゲームにしたい、というところまで決まっていた。

今回はその続きとして、このゲームがどう始まるのか、導入まわりを詰めていった。

まだ実装に入っているわけじゃない。
あくまで企画と設定を詰めている段階。

ただ、ゲームの始まり方が決まれば、全体の見え方が決まってくる。

最初の拠点はどこなのか。
主人公はどういう状態なのか。
なぜ巣作りを始めるのか。
プレイヤーは最初に何を守るのか。

このあたりを決めることで、ゲーム全体の手触りも決まっていく。

ということで今回は、導入シーンと初期拠点についてAIと詰めていった。

導入で一番気をつけたこと

今回、導入を考えるうえで気をつけたのは、主人公をただの「異世界に来た人」にしないこと。

主人公には前世の記憶がある。

ただし、「前世人格が現世の身体を乗っ取った主人公」にはしたくなかった。

主人公は、あくまでこの世界で生きてきた魔王一家の子どもとしての人生を送っている。

母親がいて、先代魔王がいて、先々代魔王にかわいがられていた記憶がある。

そこに、前世の現代知識や感覚が混ざっている。

つまり、前世の知識を持った別人がのっとっているのではなく、現世の人格に前世記憶が混ざっている形。

この形にしたのは、後半で母親のことや先代についての事件と関わる時に、ちゃんと感情が成立するようにしたかったから。

もし主人公が完全な乗っ取り型だと、先々代の言葉の重みが弱くなってしまう。

でも、この世界で生きてきた記憶がちゃんとあるから、家族や過去とのつながりが残る。

そのうえで、導入では「知らない世界に来た」ではなく、「知っているはずの世界が、前世記憶のせいで少し二重に見える」という感覚にしたいと思った。

前世記憶は便利すぎてもよくない

前世記憶がある主人公にすると、どうしても現代知識で無双する方向に寄りやすい。

でも今回は、そこを少し抑えている。

もちろん、現代知識は施設や罠、運営方針の発想に使える。
たとえば、動線を考えたり、偽情報を流したり、施設の役割を整理したり、領地運営の見方を少し現代的にしたりできる。

ただし、前世知識だけで全部解決する主人公にはしたくない。

この世界には、この世界のルールがある。
魔王核というものがあり、黒霧があり、教会があり、勇者がいて、他魔王もいる。

だから主人公は、前世知識を持っていても万能じゃあない。

むしろ、前世記憶が混ざることで、自分が何者なのか、アイデンティティが一時的に揺れる。

この世界の記憶もある。
前世の記憶もある。
どちらも自分のもののように感じる。

導入では、そういう少し不安定な感覚を出そうと思う。

先々代魔王の遺言

主人公の軸になるものとして、先々代魔王の遺言を用意した。

遺言は、「自分らしく生きろ」。

この一言はかなり大事になりそう。

このゲームの主人公は、いわゆる魔王らしく振る舞って、支配と征服だけを目指すタイプじゃない。

もちろん弱いからこそ必死に守るし、必要なら戦う。

でも、ただ奪って広げるだけじゃあなく、自分なりの魔王領を作っていこうと足掻いていく。

その時に、先々代の「自分らしく生きろ」という言葉が、主人公の芯の部分に効いてくる。

この遺言があるからこそ、主人公が普通の魔王像から少しずれていても不自然にならない。

捕虜をただ消費しない。
保護小屋や療養室を作る。
逃げてきた者を受け入れる。
教会や人間側にも、完全な敵ではない相手がいると考える。

そういう選択をした時にも、「自分らしく生きろ」という言葉が支えになる。

本来なら旧領から始まるはずだった。

導入でもう一つ大事だったのが、なぜ主人公が小さな洞穴から始めるのか、という理由づけ。

魔王領運営ゲームなのに、最初から立派な城があるわけじゃない。

では、なぜそんなに弱い状態から始まるのか。

ここは、本来なら先々代から続く旧領に接続するはずだった、という形にした。

主人公には血筋もあるし、魔王核もある。
※魔王核は魔王領を作る為・魔王として必要なもの

だから本来なら、古い領地の力を引き継ぐ流れになっていてもおかしくない。

ただ、その旧領の魔力や残響(魔力の残滓的なもの)が異常に薄くなっている。

主人公の魔王核では、そこへうまく定着できない。

他の魔王から攻められ、本当なら始まりの場所になるはずだった土地から逃げ出している。

このズレがあることで、最初から弱い理由にもなるし、先々代の旧領や過去の出来事にも、あとで意味を持たせやすくなる。

小洞穴へ退避する

旧領に入れないならどうするのか。

ここで、側近のクロイルが主人公を小洞穴へ退避させる流れにした。

この小洞穴が初期拠点になる。

ここ見せたいと思ったのは、主人公とクロイルで見え方が少し違うところ。

主人公にとっては、ひとまず逃げ込んだ仮避難場所。

でもクロイルにとっては、ここから再建する初期魔王領。

この認識のズレは、ちょっとした会話や温度差にも使える。

最初から壮大なダンジョンではなく、小さくて頼りない洞穴から始まる。

でも、そこが少しずつ宝物庫や罠や住居や保護施設を持つ場所に育っていく。

この伸び方の方が、自分で拠点を育てている感覚が出やすそうだと思った。

最初の拠点に必要なもの

小洞穴スタートにすることで、初期施設もかなり自然に決まってくる。

最初にあるのは、立派な魔王城じゃない。

  • 魔王核の間
  • 小さな宝物置き場
  • 仮眠スペース
  • 簡易牢
  • 入口防衛用の小罠
  • クロイルの管理中枢

このくらいでいい。

むしろ、最初から施設を増やしすぎない方がいいと思った。

小さく始めて、必要に迫られて少しずつ増えていく方が、巣作り感が出る。

最初は宝物庫ですら簡易的なもの。
捕虜牢もただの簡易牢。
保護小屋もまだない。
食堂もない。
住居区もない。

だから、遠征で資材を集めたり、襲撃を受けたり、
人を保護したりすることで、「これが必要だ」と見えてくる。

この流れにできれば、施設解禁にも意味が出てくる。

なぜ巣作りが始まるのか

小洞穴スタートにしたことで、巣作りの動機も自然にできた。

主人公は、最初から「理想の魔王領を作りたい」とは思っていない。

まずは、生き残る必要がある。

入口を守る必要がある。
財宝を隠す必要がある。
捕虜や保護対象を置く場所が必要になる。
遠征で素材を拾ってきて、使える形にしないといけない。
いつか来る襲撃にも備えなければいけない。

そういう必要に迫られて、結果的に巣作りが始まっていく。

そんな流れが自然に出てきた。

ゲーム的にも、最初から大きな目標を背負わせるより、「この小さな拠点を何とか生かす」というところから始めた方が、1ターンごとの行動にも意味が出そうだった。

導入で入れたい感覚

導入シーンそのものは、まだまだこれから詰める部分も多い。

ただ、現時点で入れたいシーンは はっきりしてきた。

黒霧の匂いに覚えがあること。
クロイルの声に聞き覚えがあること。
先々代魔王の手や声を断片的に覚えていること。
母親の温度や、接した記憶の断片があること。
フォムに対して、理由の分からない懐かしさを覚えること。
そして、本来なら行けるはずの旧領に入れず、小洞穴へ退避すること。

こういう断片があることで、単なる説明シーンではなく、あとから意味がつながっていく導入にできそう。

読んだ時、あるいは遊んだ時に、「この時の違和感はそういうことだったのか」と思えるような始まりにできそうだと思っている。

クロイルの役割

導入を考える中で、側近のクロイルの役割も少し見えてきた。

クロイルは、ただのチュートリアル役にはしたくない。

もちろん、プレイヤーに施設や遠征や防衛を説明する役割を持っていることは間違いない。

でも、それだけだと都合のいい説明キャラになってしまう。

クロイルは、先々代から続く管理機構のような存在であり、主人公を補佐する側近でもある。

だから、旧領に接続できなかった時も、冷静に状況を分析して、小洞穴へ退避させている。

クロイルにとっては、主人公を守ることと、魔王領を再建することはイコールになっている。

このキャラがいることで、プレイヤーは最初の行動を選びやすくなるし、
同時に、世界観の奥行きも少し出せると思う。

ここまでで見えてきたこと

その1では企画全体の骨組みを作った、その2で導入を考えたことで、ゲームの温度が少し具体的になってきた気がする。

このゲームは、最初から巨大な魔王城を持つゲームじゃない。

何も知らない主人公が異世界に放り込まれるゲームでもない。

血筋も過去もあるけれど、うまく継げない。
知っているはずなのに、前世記憶のせいで感覚が少しずれる。
そんな不安定な状態から、小洞穴を足場にして少しずつ巣を育てていく。

この入口が決まってきたことで、初期遠征や初回襲撃にも繋げやすくなってきた。

次にやること

次は、この小洞穴からどこへ向かうのか、最初の遠征先を整理していきたい。

今のところ、序盤の遠征先として考えているのは、黒霧の森、廃村、旧鉱山の3つ。

素材を集める場所。
人と出会う場所。
防衛の基盤を作る場所。

それぞれ役割を分けている。

このあたりを次回はもう少し具体的に記事にできればと思っている。

まとめ

今回は、AIと一緒に企画している魔王領運営ゲームの制作記録その2として、導入シーンと初期拠点の考え方を整理した。

主人公は前世の記憶を持っているけれど、この世界で生きてきた人生もちゃんとある。

先々代魔王の「自分らしく生きろ」という遺言がある。

本来は旧領に入るはずだったのに、それができず、小洞穴へ退避する。

そこから、生き残るための巣作りが始まる。

そんな入口になりそう。

次は、この小洞穴から向かう最初の遠征先を詰めていく予定。

AIと魔王領運営ゲームの企画を作り始めた|巣作り×ローグライト制作記その1

魔王領運営ゲームの初期遠征先を考える|黒霧の森・廃村・旧鉱山 制作記その3