小さな引き出しがたくさん並んだ古い木の棚の上に、白い紙が1枚だけ置かれている

僕はAI(Claude)に、ブログの記事や動画づくりを手伝ってもらっている。やりとりは日本語だ。それなのに、作業の途中に出る短い一言が、ときどき英語になる。

9月25日には、こう打っていた。

なんで英語? サジェストで出すくらいなら初めから注意しろよ

その前にもあとにも、同じことを何度も言った。

  • 9月22日:「なんで英語?」
  • 9月30日:「日本語」
  • 10月11日:「とりあえず途中経過は日本語で書いて」
  • 10月14日:「日本語で」
  • 10月18日:「日本語にして」
  • 10月19日:「日本語で」

言えば、AIはすぐ謝る。それでも、しばらくすると英語が戻ってくる。この話は、その理由を記録で追いかけて、置き場所を1つ変えたら数がどう動いたかを数えたものだ。

謝って、メモにも書いていた

10月の4回は、どれも同じ分のうちに謝っている。10月11日と14日は「失礼しました」、18日と19日は「すみません」で始まっている。

10月19日の朝の答えは、こうだった。

これからは、途中の短い一言も日本語で書きます。この失敗は、次から気をつけられるようにメモリにも残しました。

AIには、作業をまたいで覚えておくためのメモがある。このときAIは、僕が頼んだわけではないのに、自分の判断でメモに一行を書き足していた。

道具を呼ぶ直前の一言(「〜を直します」「〜を写します」)。短いほど英語に崩れやすい

「道具を呼ぶ直前の一言」というのは、AIがファイルを読んだり書き換えたりする前に、「〜を読みます」と一言添える文のことだ。10月19日にAIが謝ったのも、この一言を英語で書いたことだった。

14分後、別の作業でまた英語が出た

メモを書き足したのは10月19日の7時38分だ。その14分後の7時52分、別の作業でAIがこう書いた。

Now the article body.

10月20日の朝6時45分までに、4つの作業で、日本語を1字も含まない一言が12回出た。

All identical. Publish batch 5.

Update records.

この2つは、僕が「公開して」と打った1〜3分後に出ている。12回とも、すぐ次に道具の呼び出しがあった。メモに書いた場面そのものだった。

これだけ見ると、「メモに書いても守られない」と言いたくなる。でも、記録を照らし合わせると、話は少し違った。

メモは、ほかの作業に届いていなかった

英語が出た4つの作業は、どれもメモを書き足す前から動いていた作業だった。4つの記録には、「道具を呼ぶ直前」という言葉が一度も出てこない。新しい一行を読んだ跡がない。

調べてみると、この4つは、メモを書いた作業と同じフォルダの作業だった。それでも届いていなかった。作業が始まるときに最初に読むのは、メモの索引の一行だけで、メモの本文までは読んでいなかったのだ。その索引の一行は、9月25日に書いた古いもの(「完了報告で英語に切り替えない」)のままだった。

メモを書いたあとに始まった、同じフォルダの作業もあった。その作業でも、7時22分と7時34分に英語だけの一言が出ている。

ほかのフォルダの事情も違った。

  • 雑学のフォルダの索引には、日本語の決まりそのものがなかった
  • 動画のフォルダには、別の索引と別のメモがあった

1つの作業で謝ってメモに書いても、その本文は、書いた作業の外には届いていなかった。

ただし、分かったのはここまでだ。メモが届いていなかったせいで英語が出たのかどうかは、分からない。メモを書いたその作業では、謝った発言を含めて18回の発言に、英語だけのものはなかった。でも、その作業は写真の相談が中心で、道具の前の一言がもともと少なかった。これを効き目の証拠にはできない。

覚えても、守られなかった日もある

同じ作業の中でメモに書いても、英語が出た日はある。10月11日の動画の作業だ。

12時49分に僕が「とりあえず途中経過は日本語で書いて」と打つと、AIは「これからは途中経過も日本語で書きます」と答えた。同じ分に、そのフォルダのメモにも書き足している。その23分後、13時12分に、こう出た。

Results are in. No re-recording is needed. Everything can be fixed in the script and the tool. …

そのあと、その日のうちに英語だけの発言が15回あった。最後の報告は日本語だった。

だから、メモに書けば必ず守られる、とも言えない。言えるのは、どこに書くかで、届く範囲が変わるということまでだ。

全部の作業が読むファイルに書いた

10月20日、AIからこう聞かれた。全部の作業が最初に読む指示ファイル(~/.claude/CLAUDE.md)に、日本語の決まりを書きますか。僕は「やって」と答えた。

このファイルは、どのフォルダで作業を始めても、最初に読み込まれる。それまで、このファイルに日本語の決まりはなかった。AIがいちばん上に入れた決まりは、次のような中身だ。

  • ユーザーに見える文は、最初から最後まで日本語で書く
  • 対象は、道具を呼ぶ直前の一言、途中経過、最終報告、最後のまとめの欄、ボタンの文字、子エージェント(AIが手分けのために立ち上げる別のAI)の返事まで
  • 「Now…」「Done.」のような英語の決まった言い方も使わない
  • コード、ファイル名、引用する原文は、そのままでよい
  • メモはその作業のフォルダでしか読まれないので、このファイルに書く

ちなみに、決まりを入れると告げたAIの一言は、こう始まっていた。

Ask was “やって”なので、全体の指示ファイルの先頭近くに日本語の決まりを入れます。

1週間たって数えた

10月27日に、決まりを入れる前の13日間と、入れたあとの7日間(27日は朝まで)を数えた。

数え方はこうだ。作業の記録から、AIの発言を抜き出す。「[月/日 時:分] AI: 」で始まり、次の発言の頭までを1回とする。そのうち、ひらがな・カタカナ・漢字を1字も含まない発言を数えた。

この数には、英語の文を引用しただけの発言や、コードだけの発言も混じりうる。反対に、英文に日本語が1語でも入っていると数えていない(上の「Ask was “やって”なので…」も数に入っていない)。項目を並べた長い英語の途中報告も、1回と数えている。同じ作業の記録が2つのファイルに重なって入っていた分は、1回にまとめた。決まりを入れた10月20日は、前にも後にも入れていない。

期間AIの発言日本語を1字も含まない発言割合
10月7日〜13日923回142回15.4%
10月14日〜19日889回73回8.2%
決まりを入れる前(10月7日〜19日)1,812回215回11.9%
決まりを入れた後(10月21日〜27日)1,153回37回3.2%

英語が出た作業の数も減った。前は30の作業のうち22で出ていて、後は22の作業のうち10だった。

ただ、表を見ると分かるとおり、決まりを入れる前から減り始めていた。週によって作業の中身も違う。10月11日の動画の作業のように、英語の長い報告が続いた日もある。だから、減った分が全部このファイルのおかげだとは言えない。

0にはならなかった

10月22日の朝の作業では、こんなことがあった。

7時10分、英語の一言が2つ続いた。同じ分のうちに、AIは自分で気づいて、こう書いている。

候補の中身を確かめます(さっきの途中の一言が英語になっていました。以後は日本語で書きます)。

その13分後、7時23分に、また英語が出た。

Now the memo, the hotel card registration, and the draft-creation scripts.

2分後にも、もう1回あった。この作業は、決まりを入れた2日後の朝に始まっている。僕はこのとき、英語について何も言っていない。

残った37回のうち23回は、10月20日より前から続いていた4つの作業で出ていた。残りの14回は、10月21日以降に始まった作業だった。続いていた作業が新しいファイルを読み直したのかどうかは、確かめていない。

分かったこと

「日本語で」と言うと、AIはすぐ謝った。メモに書き足したこともあった。でも、メモの本文は、書いた作業の外には届いていなかった。届かなかったことが英語の原因だったのかまでは、分からない。

全部の作業が最初に読むファイルに書いたあとの1週間は、日本語を1字も含まない発言は3.2%だった。その前の13日間は11.9%だった。0にはならなかったし、もともと減り始めてもいた。

AIに同じことを2回言ったら、その決まりがどこに書かれたかを見てみるといい。1つの作業のメモなのか、全部の作業が読む場所なのかで、届く範囲が変わる。そして、書いたあとは数えてみる。今回も、数えて初めて、減ったことと0ではないことが分かった。

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