木の机の上で砂が落ちている小さな砂時計と、伏せて置かれたスマートフォン

身の回りの「なぜ」を説明する雑学のショート動画を、温泉ブログとは別のチャンネルで出している。台本はAI(Claude)と一緒に作り、ナレーションは僕が録る。

9月の終わりに、長さの決まりをやめた。今は、話に「続き」がある回は1分を超える。いちばん長い68秒の回は、平均で53秒見られていた。

「長さって、なんで決まりにしてるの?」

9月25日の朝、参考にしている別のチャンネルのショートを見ていて、満足感が全然違うと感じた。自分の動画は、見終わっても「これで終わり?」という薄さが残る。

AIに聞くと、数字で比べてくれた。参考のチャンネルのショートは、長さの真ん中が132秒。こちらは33〜47秒だった。AIは「短いから薄いのではなく、二段目が無いから薄い」と見立てた。答えを言ったあとに「ただ、面白いのはここからで」と続く部分が無い、という意味だ。そして、二段目がある話なら60〜120秒まで伸ばしてよいことにしよう、と提案した。

僕が引っかかったのは、そこだった。

そもそも長さってなんで決まりにしてるの?面白い話であれば長さを気にする必要ないと思うんだけど。

AIは、決まりの出どころと、長さと成績の関係と、YouTubeの公式の説明を調べると言った。最後には別の担当に「それでも決まりは要る」という立場で反論させる、と。

出どころは、2つの数字の真ん中だった

11分後に返ってきた答えは、こうだった。

ご指摘のとおりでした。長さを決まりにする根拠は、どこにもありませんでした。

「25〜40秒」は、チャンネルを始めた8月28日に決めたものだった。調べると、次の2つの真ん中を取っただけだった。

数字出どころ
18〜28秒ChatGPTが出した案。出典は無かった
40〜60秒温泉ランド.comのショート3本の結果

そのあと「一度に2つのことを変えない」という方針で固定され、見直されないまま1か月たっていた。しかも、実際にできあがった動画は33〜47秒で、一度も25〜40秒に収まったことがなかった。

AIは、自分の落ち度も挙げた。9月3日に「決まりのほうが実態に合っていない」と気づいて僕に聞いたのに、答えを記録しないまま放っておいたこと。温泉ランドのショートでは「長さを詰めない」と決めていたのに、雑学のほうに持ってこなかったこと。

長さと再生数に、関係はなかった

AIは、手元にある数字で確かめた。

チャンネル本数長さと再生数の関係
雑学のチャンネル9本見えない(長さが33〜47秒しかなく、そもそも測れない)
温泉ランド.comのショート34本なし
参考にしたチャンネル39本なし。再生の多い10本のうち8本は2分以上

いちばん効いたのは、温泉ランドの34本の数字だった。41秒の動画でも70秒の動画でも、実際に見られた時間は平均38〜39秒でほとんど同じだった。見るのをやめる場所は中身で決まっていて、長さは関係していなかった。長い動画は「最後まで見た割合」が下がるが、それは割る数が大きくなるからにすぎない。

YouTubeの公式ヘルプにも、こうあった。動画に最適な長さは無い。中身を水増しして引き延ばさないこと。ショートの並びを決めるのは、見ることを選んだ人の割合や、平均視聴時間などで、長さそのものではない。

反論役の担当も、最後は「秒数の目標は落としてよい」という結論だった。

残した決まりと、足した決まり

秒数の目標はやめた。残したのは3つだけだ。

  • ショートの上限は3分(YouTubeの決まり)
  • 中身を引き延ばさない
  • 答えは最初の5秒までに言う、字幕の1行は5秒まで、といった並べ方の決まり

代わりに1つ足した。長くした回は、足した秒数のぶん、実際に見られた時間が伸びたかを毎回確かめる。伸びていなければ、次からその部分を削る。

ちなみに、決まりをやめたあとも、チャンネルのバナー画像には「30秒」の文字が残っていた。AIがチャンネルのページを見て気づき、作り直した。決まりは、思わぬところに書いてある。

決まりをやめて、最初の1本

最初に作った長めの回は、家のリモコンのボタンにある「点」と「棒」の話だった。答えを言ったあとに、二段目の話が続く。できあがりは68.1秒で、それまででいちばん長かった。

10月2日までの数字で、同じ頃に出した回と並べるとこうなった。

回長さ平均で見られた時間
リモコンのボタン(二段目あり)68秒53秒
トイレの話3本約40秒13〜15秒

68秒の回は、40秒の回の倍以上、長く見られていた。ただ、これは1本だけの数字で、題材も、最初の画面も、二段目の有無も違う。「長くしたから見られた」とは言い切れない。AIもそう書いている。これからも1本ずつ、足した秒数が見られたかを確かめていく。

分かったこと

決まりは、作った日のことを誰も覚えていなくても、守られ続ける。「25〜40秒」は、出典の無い数字と、3本だけの経験の真ん中だった。それが1か月、台本を書くたびに中身を削る理由になっていた。

おかしいと最初に思ったのは、数字ではなく、見終わったときの「薄い」という感覚だった。その感覚を聞いたAIは、最初は決まりの範囲を少し広げようとした。「そもそも、なんで」と聞いたら、決まりの根拠そのものを調べに行った。聞き方ひとつで、AIが調べる範囲が変わる。

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