古い木の扉の郵便受けに、白い封筒が半分差し込まれたまま止まっている

温泉ブログ(温泉ランド.com)の記事づくりを、AI(Claude Code)に手伝ってもらっている。

AIは、調べ物を別のAI(子のAI)に分けて任せる。親のAIは子のAIへの指示で、ある形のPythonの動かし方を禁じていた。それでも、子のAIはその形を使った。

親のAIが、禁じる形をはっきり書き直した。すると、3つの子のAIは書かれた形を避けた。ただ、1つは別の形でPythonに中身を読ませようとした。最後に「標準入力を読む形はどれも使わない」と、することで禁じたら、3つとも守った。

10月23日から25日までの3日間の話だ。

AIに、調べ物を分けて任せている

いまは、温泉地を1か所ずつ紹介する記事を、3本ずつ作っている。僕がAIに「次の温泉地」と送ると、AIが3か所を選ぶ。

温泉地のくわしい調べ物は、AIが自分ではやらない。サブエージェント(子エージェント)という、別のAIに任せる。店長が、お使いを3人のアルバイトに分けて頼むようなものだ。記録には、こう書いてある。

3つの温泉地を、それぞれ別の調べ係に公式の情報だけで調べてもらいます。

親のAIは、戻ってきた調べ物で記事を書き、下書きに入れる。僕は「公開して」と送る。

子のAIは、親のAIが書いた指示文をもとに動く。僕と親のAIのやりとりは、そのまま見ていない。だから、守ってほしいことは、指示文に書くしかない。

禁じていたのは、Pythonに「中身を外から流し込む」動かし方

禁じていたのは、py -3 - のような動かし方だ。

ふつう、Pythonは「このファイルを動かして」と言われて、ファイルを開いて読む。ファイル名を書く場所に、- だけを置くと、意味が変わる。「動かす中身は標準入力から受け取る」になる。

標準入力は、プログラムの郵便受けのようなものだ。ファイルを自分で開けに行くのではなく、外から何かが届くのを待つ。

届くものがあれば、読んで動いて終わる。中身が空でも、たいていはすぐ終わる。ところが10月9日、AIが中身の空のままこの形でPythonを動かしたとき、Pythonは人が打ち込むのを待つ画面(対話の画面)で空回りした。パソコンのCPUを、13時間使い続けていた。僕が全部の作業に読ませている指示ファイルに、そう書き残してある。

それ以来、子のAIへの指示では、この形を禁じていた。

子のAIが止まらずに動き続けた件は、前にも書いた。そのときは、パソコン全体の検索がやまなかった(そのときの記事)。今回は、そもそも子のAIに危ない形を使わせないための、指示の書き方の話だ。

1回目:空の py -3 -I - を1回

10月23日の夜の組で、親のAIはこう報告した。

白布の調べ係が、中身が空の py -3 -I - を1回だけ実行していました。すぐ終わっていて、残っているプロセスはありません。

-I が間に入っているが、最後が - なのは同じだ。この報告には、まだ「禁じていた」とは書いていない。プロセスは、パソコンの中で動いているプログラムのことだ。

3回目:2つの子のAIが、禁じた形を使った

翌日の朝の組(2回目)では、この話は報告に出てこなかった。その日の夜の組(阿寒湖・長良川・青島)で、また出た。

長良川を調べた子のAIは、py -3 - を2回動かしたと報告してきた。阿寒湖の子のAIは、空の python3 - を動かしたと報告してきた。回数は書いていない。

python3 - は、書き方は違うが、することは py -3 - と同じだ。親のAIは、2つとも禁じた形を使ったものとして数えた。

今回の調べ係のうち2つが、禁じていた「標準入力を待つ py -3 -」の形を実行していました。どちらもすぐ終わっていて、残っているプロセスはありません。いま動いている Python は、別の作業の make_preview.py だけです。次からは、指示の書き方をもっと強めます。

4回目:例を挙げて禁じたら、別の形を試した

次の朝、親のAIは指示を書き直した。記録には、こうある。

前回の失敗を受けて、- を付けて Python を動かすことを、例を挙げてはっきり禁じます。

あとの報告によると、指示には「- を付けた Python はヒアドキュメント付きでも禁止」と書いた。ヒアドキュメントは、流し込む中身を、コマンドの中にその場で書き添える書き方だ。中身の手紙を、その場で封筒に入れて手渡すようなものだ。

今回は「- を付けた Python はヒアドキュメント付きでも禁止」と、例を挙げて指示に書きました。その結果、3つとも禁じた形は使いませんでした。ただ、1つが標準入力を読む別の形を試して失敗していました。

挙げた例は、3つとも避けた。でも千倉を調べた子のAIは、例に無い形で、標準入力を読ませようとした。何を試したのかは、記録には出てこない。試して失敗し、取り残しは無かった。

5回目:種類で禁じたら、3つとも守った

親のAIは、この報告の最後に「次からは、標準入力を読む形はどれも使わないよう指示に書きます」と書いていた。その日の午後の組で、そのとおりにした。

今回は標準入力を読む形全般を禁じます。

調べ係への指示では、今回「標準入力を読む形はどれも使わない」と書きました。3つとも、この決まりを破りませんでした。

回ごとの指示と結果

回は、この記事で数えた「次の温泉地」の順だ。

回(「次の温泉地」の日時)子のAIへの指示結果
1回目(10/23 20:10)指示文は記録に出てこない白布の子のAIが空の py -3 -I - を1回
2回目(10/24 08:55)指示文は記録に出てこない報告に出てこない
3回目(10/24 21:42)指示文は記録に出てこない(報告では「禁じていた」)長良川が py -3 - を2回、阿寒湖が空の python3 -
4回目(10/25 08:36)例を挙げて禁止:「- を付けた Python はヒアドキュメント付きでも禁止」例の形は0。千倉が標準入力を読む別の形を試して失敗
5回目(10/25 14:09)種類で禁止:「標準入力を読む形はどれも使わない」3つとも守った

どの回も、子のAIは3つずつだ。どの回も、取り残しは無かった。

境目がはっきりした

そのあとの組でも、子のAIはヒアドキュメントを使っている。ただし、使い道が違う。

10月26日の未明、戸田温泉を調べた子のAIは、ファイルを書くためにヒアドキュメントを使ったと報告してきた。親のAIはこう書いた。

Pythonに標準入力を読ませる形ではありませんが、念のため、取り残されたプロセスがないか確かめます。

10月27日の朝も、犬吠埼の子のAIが、Pythonのファイルをヒアドキュメントで作っていた。親のAIは、これも「標準入力を読ませる形ではなく」と書いている。

封筒に手紙を入れて、ファイルという箱にしまうのはかまわない。その封筒をPythonの郵便受けに入れるのはだめだ。「標準入力を読む形」と、することで書いておくと、この線は言葉の意味から引ける。「ヒアドキュメントは禁止」と道具の名前で書くと、ファイルを書くほうまで止めてしまうかもしれない。

毎回、取り残しを確かめていた

親のAIは、子のAIの報告を聞くたびに確かめていた。

子のAIが「動かした」と言うと、その場で、パソコンにPythonが残っていないかを見た。3回目では、こう書いている。

残っているのは別の作業の make_preview.py だけで、調べ係のものは残っていません。

残っていたものを、別の作業のものと分けて見ている。禁じた形でなくても、念のため確かめた回もあった。

PDFのときも、同じ流れだった

10月22日には、紫尾温泉を調べた子のAIが、バスの時刻表のPDFをブラウザで開こうとした。保存の画面が一度、僕の画面に出たそうだ。子のAIは、保存はしていないと言っている。

親のAIは、次の組の指示に「ブラウザでPDFを開かない」を足した。そのあとの記録には、ブラウザでPDFを開いたという報告は出てこない。

僕は何もしていない

正直に書くと、1回目の「次の温泉地」から5回目の組の「公開して」まで、僕がAIに送ったのは「次の温泉地」と「公開して」の2つだけだ。合わせて10回だ。

禁じた形を使ったことは、子のAIの報告に書いてあった。それを拾って僕に伝えたのも、書き方を強めると決めたのも、例から種類へ書き換えたのも、親のAIだった。僕は報告を読んで「公開して」と送っていた。

親のAIが毎回、子のAIのしたことを報告に書いていたから、こうして順番を追える。

AIに禁止を伝えるときに

  • 禁止は、コマンドの書き方ではなく「すること」で書く。形で禁じると、書かれていない形が抜け道になることがある
  • 同じことに、書き方がいくつもあると思っておく。今回は py -3 -、py -3 -I -、python3 - が出てきた
  • 許してよいものとの境目も書けると強い。今回なら「ファイルを書くためのヒアドキュメントはよい。Pythonに読ませるのはだめ」
  • 子のAIが動かしたあとは、取り残しが無いかを確かめる。自分の作業と別の作業のものを分けて見る
  • 子のAIは、人と親のAIのやりとりをそのまま見てはいない。守ってほしいことは、指示文に毎回入れる

分かったこと

形を挙げて禁じると、子のAIはその形を避けた。でも1つは、標準入力を読ませること自体は試した。「標準入力を読む形はどれも使わない」と、することそのものを禁じたら、3つとも守った。

今回は、「この形はだめ」より「こういうことはしない」と書いたほうが伝わった。1回ずつの比べっこなので、決まりとまでは言えない。それに、5回目の子のAIには、そもそも標準入力を使う場面が無かっただけかもしれない。だから、守られたかどうかは、毎回確かめる。

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