古い木の机の上で、湯けむりの立つ露天風呂の写真の上に、白い無地の紙の帯が少し斜めにずれて重なり、そばに虫めがねが置いてある

温泉ブログ(温泉ランド.com)では、宿の少ない温泉地を1本の記事にまとめる仕事を、AI(Claude)に任せている。

僕がするのは、ほとんど2つだけだ。「次の温泉地」と頼むことと、できた下書きを見て「公開して」と言うこと。10月21日から25日までの5日間、僕は「次の温泉地」と11回言った。

もう1つ、別の会話では、温泉の伝説や由来を話すYouTubeショートの台本と、それに合わせた記事を作ってもらっている。こちらで僕が言うのは「次のネタ」だ。

この5日間に、記事の頭に付ける画像(アイキャッチ)の中の文字が、8枚まちがっていた。見つけて直したのは、どれもAI自身だった。どれも公開の前に直っていた。僕は画像の文字について、一度も何も言っていない。

本文には検査がある。画像の文字には無かった

温泉地の記事の本文は、下書きにする前に自動の検査にかけている。宿ごとの紹介文に、調べた材料に無い設備や数字(時刻・部屋数など)が入っていないか。使わないと決めた言葉が無いか。改行の形がそろっているか。毎回の報告には「検査は0件」と出ていた。

ところが、アイキャッチ画像には文字が入っている。温泉地の名前と「宿と行き方」、その下の小見出し1行だ。小見出しは、たとえば「博多から電車で約15分、湯の町の宿3軒」のような文だ。

この画像は、2段で作っている。

温泉地の記事の画像は、こうだ。

  • 絵は、別のAI(Codex)が描く。頼むときに毎回「文字を入れない」と書き添えている
  • できた絵に、Claudeが用意した言葉をプログラムで重ねる

つまり、まちがった文字は、絵を描くAIが勝手に入れたものではない。記事を書いているClaudeが、画像用に書いた言葉だった。

この記事を書くにあたって、検査のプログラムをAIに読んでもらった。検査は3つ(事実・言葉・改行)あり、どれも本文しか読んでいなかった。事実の検査は、本文の中でも宿の紹介文だけを見ていた。画像の文字も、記事の題名も、検査の外だった。

ショートの記事のほうは、そもそも本文の自動の検査を回した記録が無い。

まちがっていた8枚

5日間に作ったアイキャッチは、温泉地の記事が33枚、ショートの記事が5枚の、あわせて38枚だった。そのうち8枚の文字を直していた。

気づいた日時記事画像に入っていた言葉合わなかった理由直したあとの文字
10/21 3:02鶴の湯(秋田)傷ついた鶴が見つけた湯伝わる話では、湯につかる鶴を見つけたのは猟師鶴が傷をいやした湯
10/21 3:17鎌先温泉(宮城)「蔵王のふもと」本文の根拠にない言い方開湯約600年の湯治場の宿5軒、白石蔵王駅から
10/21 3:17辰口温泉(石川)「能美の里山」調べた資料にない言葉金沢の奥座敷の宿3軒、小松駅から
10/22 5:59(報告の時刻)金田一温泉(岩手)記録に残っていない本文で勧めている行き方(二戸駅から)と合わない座敷わらしの宿など3軒、二戸駅から
10/23 2:28三朝温泉(鳥取)白い狼が教えた温泉場所を教えたのは、夢に現れた妙見大菩薩狼を助けて見つかった湯
10/23 11:24湯坪温泉(大分)「宿4軒」1軒を外して3軒になっていたくじゅうのふもとの民宿村の宿3軒、豊後中村駅から
10/24 9:15二日市温泉(福岡)「約20分」本文は約15分博多から電車で約15分、湯の町の宿3軒
10/25 14:44赤穂温泉(兵庫)「御崎の宿4軒」4軒のうち1軒は御崎ではなく、さつき町にある瀬戸内海のそばの宿4軒、播州赤穂駅から

鍵かっこの言葉は、小見出しの一部だけが記録に残っているものだ。金田一は、直す前の文字も、直した時刻も記録に無かった。

伝説の2枚は、主語が入れ替わっていた

ショートの2枚は、どちらも伝説の中身を取りちがえていた。

鶴の湯の名前の由来は、AIが鶴の湯の公式サイトなどで確かめていた。地元の猟師が、傷ついた鶴が湯で傷をいやしているのを見つけた、という話だ。記事の題名も台本も、そのとおりに書けていた。それなのに、画像の見出しだけが「傷ついた鶴が見つけた湯」になっていた。湯を見つけたのは、鶴ではない。

三朝温泉は、三朝温泉観光協会のサイトで確かめていた。850年以上前、侍が年老いた白い狼を見逃した。その夜、侍の夢に妙見大菩薩が現れ、お礼に温泉の場所を教えた、という話だ。こちらも題名と台本は合っていたのに、見出しは「白い狼が教えた温泉」だった。

どちらも、10字ほどの短い見出しの中で、だれが何をしたかが入れ替わっていた。AIは、見出しを頼んだあとで自分で気づいて、こう書いていた。

最初の見出しを「白い狼が教えた温泉」で頼んでしまいました。伝説で温泉の場所を教えたのは、夢に出てきた妙見大菩薩で、狼ではありません。

数字と地名の6枚は、本文と食いちがっていた

温泉地の記事の6枚は、本文や調べた資料と合っていなかった。

いちばん分かりやすいのは二日市だ。本文には「博多から約15分」と書いてあった。画像の小見出しだけが「約20分」だった。

湯坪は、宿を1軒外して3軒にしたのに、画像は「宿4軒」のままだった。赤穂の「御崎の宿4軒」は、画像だけでなく記事の題名にも入っていた。題名も、検査は読んでいなかった。それに、今の検査は地名の言い方を見ないので、題名が検査の中にあっても止まらなかったはずだ。

記録を並べると、画像の指定は、11回とも、調べ物の結果を待つあいだに書いていた。二日市の回なら、画像の指定を作ったのが8時59分、調べ物が届いたのが9時13分だ。本文より先に小見出しを決めておくと、あとで本文が変わったときに食いちがう。そういう順番だったことは記録から読める。ただ、まちがいの出なかった回も同じ順番で作っているので、これが原因だとまでは言えない。

AIは10月21日の夕方、「小見出しは本文を書いてから合わせます」と書いている。それでも、22日の金田一、23日の湯坪、24日の二日市、25日の赤穂と、4回食いちがった。

見つけたのはAI。ただ、報告の中では目立たなかった

8枚とも、気づいたのはAIだった。温泉地の6枚は画像を作る段で、ショートの2枚は絵ができあがるのを待つあいだに気づいて、下書きにする前後に直している。

辰口だけは、一度「画像は問題ありません」と言って下書きに入れたあとだった。その1分後、鎌先の画像を直しているときに、辰口の「能美の里山」にも気づいて差し替えている。

僕に届く報告の書き方も、この記事を書くために読み返すと気になった。二日市と赤穂の回では、報告の頭に「アイキャッチ画像も見て、問題ありませんでした」とある。直したあとの状態を指しているのだと思う。直したことは、報告の下のほう、「本文で気をつけたところ」の中に1行で書かれていた。急いで読むと、まちがいがあったことに気づかない並べ方だった。

直すのは軽かった

画像を作るプログラムには、「絵はそのまま、文字だけ重ね直す」使い方が用意されていた。絵を描き直さなくていいので、二日市も赤穂も、気づいた時刻と直し終わった時刻が、記録の上では同じ分の中に収まっている。鶴の湯は、記録の上でも絵を使い回して見出しだけを作り直している。三朝も1分で付け直し終わっている。

文字を絵とは別に重ねる作りにしていたのが、ここで効いた。もし文字まで絵を描くAIに描かせていたら、まちがいに気づくたびに、絵ごと描き直すことになっていたはずだ。

10月26日からの報告

10月26日からの3回の報告には、アイキャッチ画像の「文字が題と合っていることを目で見て確かめました」という1行が入るようになった。温泉地の記事の記録が残っている27日まで、画像の文字を直した話は出てこない。

ただ、これは機械の検査ではなく、AIが目で見て確かめた、という報告だ。それに、見比べる相手は題名だ。赤穂のように題名も同じ言い方でまちがっていたら、見比べても合ってしまう。

画像に文字を入れている人へ

ブログの画像に、AIで文字を入れている人は多いと思う。今回のことから言えるのは、次の4つだ。

  • 本文の検査が、どこまでを読んでいるか確かめる。僕の場合は宿の紹介文の数字と設備だけで、題名・画像の文字・地名の言い方は外だった
  • 画像の文字は、本文を書き終えてから決める。先に決めた数字や地名は、本文が変わると置いていかれる
  • 伝説や由来を短い見出しにするときは、「だれが・何をした」を出典の文と1つずつ見比べる
  • 文字は絵と別に重ねておく。まちがえても、文字だけ直せば済む

本文には検査をかけていたのに、記事のいちばん目立つところに置く文字には、何もかかっていなかった。検査の外にある文字は、だれかが目で見るしかない。今回それをしたのはAIだったが、題名と見比べるだけでは届かないこともある。

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