明け方の机。閉じたノートパソコンに外付けのドライブがつながり、小さなランプが光っている

9月17日の昼前、エクスプローラーに写真のサムネイルがやっと並んだ。
しばらく前から付いていた赤い×も消えた。

頼んでいたのは、これを直すことだけだった。

ところが、その途中で、もっと大きなことが見つかった。
OneDriveが、9月に書いたファイルを、何も言わずに8月末の中身へ戻していた。
作業の記録も、動画の台本も、温泉ブログの記事の修正も。

見つけたのは、パソコンの中で別々の仕事をしていた2つのAI(Claude)だった。
この記事は、その半日の話。
取り戻せたので、今は落ち着いて書ける。

始まりは、サムネイルが出ないことだった

Cドライブを圧縮したあたりから、パソコンの中の画像のサムネイルが出なくなった

いちばん困ったのは、デスクトップに置いた出品用の写真のフォルダだった。
どれがどの写真か、アイコンを見ても分からない。
ファイルに赤い×が付いているものもある。

不便なので、AIに原因を探してもらった。

原因は1つではなかった。

  • iPhoneの写真(HEIC)を表示するための拡張機能が入っていなかった
  • サムネイルの目次にあたるファイルが、8月4日から更新されていなかった。目次が止まると、作ったサムネイルを引き当てられない。これは画像の種類にも、置いた場所にも関係なく効いてくる
  • OneDriveの中のファイルは、サムネイルを作る処理そのものが失敗していた

3つめを調べる途中で、思っていなかったことが分かった。
デスクトップ、ドキュメント、ピクチャの3つのフォルダが、Windowsの設定で、まるごとOneDriveの中に付け替えられていた。

僕はデスクトップをパソコンの中の普通の場所だと思っていたが、出品用の写真のフォルダも、実際の置き場所はOneDriveの中だった。

同じ写真をOneDriveの外のフォルダにコピーすると、サムネイルは出た。
OneDriveの中だと失敗する。
OneDriveのリセットも、キャッシュの作り直しも、効かなかった。

AIは、作業フォルダをOneDriveの外へ出す案を出した。
その日の出品はもう済んでいたし、OneDriveがなくても困る作業はなかったので、外していいと答えた。

アンインストールを待っていたら、見慣れない名前のファイルがあった

OneDriveを外す準備をしている途中で、AIが手を止めた。
ファイル名の最後に「-DESKTOP-(パソコンの名前)」が付いたファイルが、56組あったからだ。

これは、OneDriveが「どちらが正しいか分からない」と判断したときに作る、予備のコピーだ。
調べると、56組すべてで同じことが起きていた。

  • 元の名前のファイルは、8月末の古い中身になっている
  • 予備のコピーのほうに、9月に書いた新しい中身が入っている

たとえば、作業の予定を書いている記録ファイルは、元の名前のほうが186行、予備のコピーが303行だった。
9月の記録121行は、予備のコピーの中にしかなかった。

AIは少し前に「OneDriveは正常です。エラーは0件です」と報告していた。
それは誤りだった。
OneDriveの同期の数字だけを見て、予備のコピーの数を数えていなかった、とAIは訂正した。

OneDriveの画面では、エラーは本当に0件と出ていた。
数字の上では、何も起きていないように見えていた。

もう1つのAIも、同じことに気づいていた

同じころ、別の画面で、YouTubeの動画を作っているAIが動いていた。
録音を差し替えようとしたら、9月に書いたはずのファイルが8月末の中身になっている。

そのAIも作業を止めて、原因を調べ始めていた。

2つのAIは、それぞれ独立に同じ事故を見つけて、連絡を取り合った。
僕がやったのは、「その順番でいい」と返事をすることくらいだった。

役割はこう分かれた。

AIやったこと
動画を作っていたAI巻き戻ったファイルの9月版と8月版を、両方とも安全な場所へ逃がす。そのうえで9月版を元の場所に戻す(55件。消したものは0件)
サムネイルを調べていたAI全部のファイルを外付けのドライブへ控えとしてコピー(25,193ファイル、8.21GB)。クラウドにしか中身がなかった30件を取り出す

30件を取り出すには、止めていたOneDriveを一度だけ起動する必要があった。
起動していたのは32秒。

そのあいだに、OneDriveは自分の自動起動の設定を勝手に元へ戻していた。
AIはそれを見つけて、もう一度止めた。

戻したファイルは、中身が同じかどうかを1件ずつ照らし合わせて確かめた。

なぜ巻き戻ったのか

AIがOneDriveの記録を読んでいくと、流れが見えてきた。

  1. 9月3日、Cドライブの空きが5.7GBまで減った
  2. 9月5日、OneDriveが自分の中の整理をしようとして、失敗した
  3. 9月16日の朝から、ファイルが古い中身に戻され始めた

その間ずっと、画面には「エラー0件」と出ていた。
サムネイルが出なかったのも、同じ時期に壊れたOneDriveの部品のせいだった。
1つの根っこから、2つの症状が出ていたことになる。

実害が1件、はっきりしていた。
温泉ブログで、休館中の旅館を紹介から外した修正が、巻き戻りで消えかけていた。
取り戻せたので、休館中の宿を薦める記事に戻らずに済んだ。

作業場所を、OneDriveの外へ移した

ここで、作業フォルダをOneDriveの外(Cドライブ直下の新しいフォルダ)へ移すことにした。
ただ、フォルダを動かすだけでは終わらない。
道具や設定ファイルの中に、古い場所の住所が直接書き込まれているからだ。

やったこと
住所を書き換えたファイル311ファイル・553か所
移したあとで、住所が壊れていないか調べた数15,065か所(壊れていたのは0)
起動して動くか確かめた道具55本(失敗0)

移し終えたあとで、サムネイルも出るようになった。
出品用のフォルダの写真も、ちゃんとアイコンに写っている。

OneDriveの外に出たので、壊れた部品を通らなくなったからだ。
最後に、OneDriveはアンインストールした。

ちなみに、AIは最初、動いているOneDriveの本体を実行して「アンインストール」しようとして、逆に自動起動を復活させた。
消すための専用のプログラムは、別にある。

僕の一言で、AIが言い直したこと

この日、AIは何度か言い直した。
そのうち2つは、僕の一言がきっかけだった。

1つめ。
移し終えたあと、AIは「他の作業は止まりません」と報告した。

でも、ほかの画面で動いていたAIは、古い住所を探して迷っていた。
僕は、不便を解消するために動いてもらっているのに、そのせいで他の作業が止まるなら意味がない、と伝えた。
AIは「言い過ぎでした」と認めた。

2つめ。
AIは、古い住所にアクセスしても新しい場所へ転送される仕組みを作った。

僕が頼んだのは、動いているAIたちに、場所が変わったことを知らせることだった。
AIは「旧住所でも動くようにする、という逃げ方をしました」と書いて、転送の仕組みを全部外した。
代わりに、全部のAIが最初に読む申し送りのメモを作り、43の画面に個別に知らせを送った。

知らないまま動き続けるより、失敗して気づくほうがいい。
転送を外したのは、そういう判断だった。

申し送りのメモを作る途中で、見落としが2つ見つかった。
別のAI(Codex)を呼び出す道具と、スクリーンショットの保存先が、まだ古い場所を指していた。

自分のパソコンで確かめるなら

OneDriveを使っている人は、次のことを一度確かめてみてほしい。

  1. デスクトップやドキュメントのフォルダが、OneDriveの中に付け替えられていないかを見る。エクスプローラーでフォルダの場所を開くと分かる
  2. OneDriveのフォルダで、ファイル名に「-DESKTOP-」が付いたファイルを探す。あれば、元の名前のほうが古い中身に戻っているかもしれない。中身を開いて比べる
  3. 「書いたはずの変更が消えている」と感じたら、自分の書き忘れを疑う前に、2を確かめる
  4. Cドライブの空きが数GBまで減ったことがあるなら、そのあとしばらくは特に注意する
  5. OneDriveの画面の「エラー0件」だけで安心しない
  6. OneDriveを外す前に、中身がクラウドにしかないファイルがないか確かめる。見落とすと、外したあとで開けなくなる

分かったこと

同期の仕組みは、うまく動いているあいだは存在を忘れていられる。
壊れたときも、静かに壊れる。

今回は、2つのAIがそれぞれの仕事の途中で「おかしい」と手を止めたおかげで気づけた。
どちらかが気にせず作業を続けていたら、9月の中身は予備のコピーの中に埋もれたままだったと思う。

控えは外付けのドライブに残してある。
作業フォルダはもうOneDriveの中にない。
同じ巻き戻りは、もう起きない。