早朝の温泉街を見下ろす窓辺に置かれた双眼鏡と、緑・橙・茶色の混じったもみじの枝

温泉ブログ(温泉ランド.com)には、時事や季節の記事がある。新しい宿の開業、期間限定の催し、紅葉の見頃といった記事だ。

10月19日の朝7時27分、僕はAI(Claude)にこう送った。

今朝の候補1件を記事化、更新が必要な記事への対応をして

10月16日にも、ほぼ同じことを頼んでいる。

3件の候補記事の作成と、更新が必要な記事の対応をして

前半の「候補」は、これから書く記事の話だ。この記事で書くのは、後半の「更新が必要な記事」のほうだ。公開したあとで外の様子が変わり、中身が古くなった記事のことだ。

書いた日から、記事は古くなる

時事や季節の記事は、宿の予約につなげるために書いている。読んだ人は、記事にある日付や様子を見て、行く日を決めて宿を取る。

でも、外の様子は記事を書いたあとも動く。紅葉の色は毎日進む。催しは中止になることがある。まだ発表されていなかったことが、あとから発表される。

放っておけば、読んだ人は古い話を信じて動くことになる。かといって、記事の元になったページを、僕が毎朝全部開いて回るのは無理だ。

それで、毎朝の見回りをAIに任せている。

毎朝の見回りがしていること

見回りは、毎朝決まった時間に自動で動くAIの作業だ。報告は朝の7時台に届く。

AIは温泉のニュースを集めて、新しく書く候補を選ぶ。あわせて「期限つき記事」の表を、上から順に確かめる。表には、記事ごとに次の4つを書いてある。

欄中身
監視する記事記事の番号と、ページのアドレス(URL)
確認するページ観光協会や町の案内など、記事の元になったページ
報告する印何が変わったら知らせるか
監視の終わりいつまで見るか

10月20日の時点で、表には43本の記事が並んでいる。

決まりは2つある。1つは、見回りは知らせるだけで、記事は直さないこと。直すかどうかは僕が決める。もう1つは、変わっていない日は何も書かないこと。手順書には、理由がこう書いてある。

毎朝「まだ大丈夫です」と書くと通知が意味を失う

報告を読んで、僕が「対応して」と言うと、AIが記事を直す。直し方も決めてある。公開中の本文を取ってきて、決めた文だけを置き換える。広告の表示や宿の紹介カードの数が変わってしまうなら、サイトへ反映せずに止める。反映したあとは、直した文が本当に入ったかを読み直す。

「まだ載っていない」と書いたことが、新聞に出た

10月16日、山梨の湯村温泉の「湯めぐり手形」の記事を公開した。宿に泊まるともらえて、ほかの宿の日帰り入浴が安くなる手形だ。

書いた時点では、分からないことが多かった。手形を出す8つの宿の名前は、組合のサイトにまだ載っていなかった。記事はそう断ったうえで、観光協会と組合のサイトにある宿を8軒並べ、「手形の8軒は、この中の宿だと考えられます」と書いた。子どもの料金は、宿に聞いてほしいことの1つに入れていた。

2日後の10月18日、観光経済新聞がこの手形を取り上げた。8つの宿の名前、子どもは無料であること、8つ全部回るともらえるクーポンが約30の施設で使えること。記事が「まだ分からない」としていたことのうち、3つがそこに出ていた。

19日の朝、見回りのAIがこれを知らせてきた。僕が「対応して」と頼み、AIがその朝のうちに記事を直した。

AIが新聞の8軒と比べると、記事に並べていた8軒のうち1軒が違っていた。記事は「考えられます」と書き、手形がもらえるかは予約のときに宿へ聞いてほしい、とも書いていた。それでも、違う宿が1軒入っていたことに変わりはない。クーポンも、記事は「飲食店などで使える」と書いていたが、宿泊代にも使えると分かった。

もう1つ気になったのは、表で「確認するページ」にしていた組合のサイトだ。19日の時点でも、手形が1回700円だったころの古い案内のままだった。新しい話は、決めていたページより先に新聞に出ていた。

同じ朝に、遅すぎる案内と早すぎる案内

10月16日の朝の報告には、紅葉の記事が2本入っていた。

1本は、北海道の定山渓温泉の記事だ。記事は「いま見頃」と書いていた。観光協会の情報では、温泉街も豊平峡ダムも、5か所すべてが「色あせ始め」になっていた。記事を信じて出かけると、見頃を過ぎてから着くことになる。

もう1本は、栃木の日光湯元温泉の記事だ。記事は「色づき始め」と書いていた。観光協会の情報では、湯ノ湖と湯滝が「見ごろ始まり」に進み、竜頭滝は見頃になっていた。記事を信じると、まだ早いと思って先に延ばすかもしれない。

読む人にとって、ずれの向きは逆だった。片方は遅すぎる日に行かせ、もう片方は行くのをためらわせる。どちらも、書いた日のまま止まっていた点は同じだ。

この2本は、その日の昼前に、僕の頼みでAIが直した。定山渓の記事は、題の「いま見頃」も直した。

紅葉は、1回直せば済む話でもなかった。3日後の19日の朝には、日光は中禅寺湖と華厳滝が「見ごろ」になり、定山渓は温泉街の「色あせ」が進んでいた。16日に公開したばかりの京都・嵐山の記事も、見頃の予想が11月24日ごろから25日ごろに1日ずれた。

10月19日に直したのは7本

19日の朝、AIが直した記事は全部で7本だった。

AIは途中で「更新する6本」と書いていたが、紅葉3本の数字が載っている全国の紅葉の一覧記事も確かめて直したので、7本になった。

  • 紅葉の記事が3本(日光、定山渓、京都の嵐山)
  • 全国の紅葉をまとめた一覧の記事が1本
  • 湯村温泉の手形の記事
  • 草津白根山の湯釜の記事(次の節で書く)
  • 温泉施設の営業の様子を書き足した記事

報告が届いたのが7時14分、僕が頼んだのが7時27分、7本とも公開中の記事に反映されたのが7時43分だった。

「中止もありうる」と知らせた翌朝、中止の知らせが来た

19日の報告には、注意が1つ付いていた。群馬の草津白根山の湯釜を、試しに見られるようにしたという記事だ。

18日に駐車場が満車になり、国道で約7kmの渋滞が出ていた。町は、試しの開放そのものをやめることもある、と書いていた。ただ、中止はまだ決まっていなかった。AIは記事に、渋滞のことと、開場前に国道で並ばないでという町の呼びかけを書き足した。

翌20日の朝、AIはこう知らせてきた。町が、10月19日で試しの開放をやめると発表した。来た人が想定よりずっと多く、避難の道や渋滞、トイレの問題が解けないためで、火山の動きが理由ではない。再開の日は決まっていない。

記事は「11月8日まで見られる」と書いていた。AIの報告には、こうあった。

今のままだと嘘になります

僕が頼み、AIが20日の朝のうちに「中止になった・再開は未定」に直した。

見回りの表も、古くなる

見回りの表そのものにも、手入れが要る。

18日の朝、別の記事を公開した報告の最後に、AIは表の1か所を手で直してほしいと書いてきた。ある割引の記事の元にしている観光庁のページで、更新日が変わっていた。ただ、中身は同じだった。表に古い更新日が書いてあるままだと、次の朝もまた、変わっていないページを調べ直すことになる。

僕は、どこのことか分からなかった。

どれのこと?

AIは場所を説明し、ご指示があれば私が書き換えます、と添えた。僕はこう聞いた。

許可が必要だったってこと?

AIの答えは「いいえ、許可はいりませんでした」だった。AIはその場で、自分で表を直した。

表の行は、記事が増えるたびに増える。終わりの日が来た行は消す。記事を直したら、表に書いた「記事はこう書いている」も合わせて直す。表と記事がずれると、見回りは同じことを何度も知らせたり、もう直したことを新しい変化として知らせたりする。

分かったこと

前に、見回りのAIが、AI自身の書いた記事の曜日の間違いを見つけた話を書いた(そのときの記事)。あれは、記事の中の間違いだった。今回は、書いた日には正しかった記事が、外の様子に追い越された話だ。

「まだ発表されていない」と書いた記事は、発表された日に古くなる。紅葉の記事は、毎日少しずつ古くなる。「中止もありうる」と書かれた催しは、すぐに終わることもある。

こういう記事を出す以上、書いて終わりにはできない。見回りが知らせ、僕が決め、AIが直す。これを毎朝回して、記事はようやく今に追いつく。

それでも、表に決めたページが動かないまま、話が先に進んでいることがある。湯村の手形がそうだった。表に書いたページを見ているから安心、とは言えない。

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